「あれ、そもそもうどんなんてメニューにないじゃん」
「そう、ないよ。うどんは所謂、裏メニューで、その日の店にある食材を生かして大将が創意工夫して作ってるんだ。だから何うどんかは来てからのお楽しみ」
「なるほどね」
「そうそう」
「ねぇねぇゴロウ君、うどんって大将、あまり作りたがってなかったよね」
「そう、手間が掛かるからね」
「じゃあ、この状況はマズいよね」
「何がマズいの」
「周りを見てみたら分かる」
ゴロウはユウキに言われて周囲を見渡した。
「ゴロウ君の声が大きいからうどんの注文ラッシュになっちゃってるよ」
「あっ…」
ゴロウは言葉を失った。
「ゴロウ君、謝ってきた方が良くない」
ゴロウはホール係りの人達に謝ってから大将に謝罪しに行った。
「大将、怒ってた」
「少しね。でもどうせ作るんだから、ドンーと来いだって」
「大将って懐の深い人なんだね」
「そうだね。だからお店も繁盛してるじゃないかな」
「早くうどん食べたいな」
「だね」
ゴロウとユウキはうどんを心待ちにしながら談笑した。
ゴロウとユウキはこの事により打ち解ける事が出来た。