田口綾乃 主催公演 第1回公演「曼珠沙華」』千穐楽を見てきました。
まずは、田口綾乃さん主催公演おめでとうございます。
小指のグラフィティーでの縁から今回観劇させていただきました。
綾乃さん原案で腕トラさんが脚本演出ってことで、
伝えたいことが汲み取れているのかはわかりませんが、
簡単にですが感想です。
ツイッターでの観劇した人の感想で泣いたーって感想が多かったので、
僕もまぁ泣くんだろうなぁ~なんて思っていたんだけど、
構えていたこともあるのかもしれませんが、意外なことに今回は泣きませんでした。
僕は観劇するときは登場人物の誰かに気持ちを共感して、
物語の世界とか感覚を共有すると思ってるんですが、
今回のお話は不思議と始まりから終わりまで、俯瞰で見ているような感覚でした。
そんな感じなので、人物の誰かに共感みたいな気持ちはなかったんですけど
お話の内容としては凄く納得できるというか。なんとなく実体験的なものを感じながら見てました。
唯一、人に必ず訪れる「死」がテーマの物語。
どう受け入れて、どう受け止めて、どう生きていくか。残された側がどう生きていくかって話はよくあって、
だけど死んでしまった側の事情も描かれている
ってところが面白いお話だなぁと思いました。誰にいつ訪れるかわからないことだけど、
普通に考えて歳の順というか、少なくとも、昨日まで、さっきまで元気だった人が
突然居なくなるってほんとに耐えがたいことだし、つらいことだし、
同じ経験してたって気持ちが分かるって軽く言える事じゃない。
そんな気持ちを素直に、自然体で表現されていたさっちゃん役の今橋かつよさんが凄かったなぁ。
↑↑ここまで書いてずっと放置されていました。
お芝居の感想パートとして、田口綾乃さんのお芝居が良かったです。
瞬間瞬間で、表情とか感情とかが切り替えされてて、冷静に見て凄いなって思いました。
かつよさんとの親子関係は、リアルかなってくらいに関係性が見えて、そこがまた話のリアリティさが
出ていたなぁと思います。
個人的に、上石さんの明日香のシーンが特に印象的でした。
病気を患ってどんどん体調が悪くなっていく様子とか、
杏奈と優が下界に行った時の病室でのシーンが演技に引き込まれていきました。
偏見部分もあると思うんだけど、近しい人が亡くなる舞台って、そこから辛い気持ちを
受け入れたり、気持ちを再生する物語が多いって思うんです。
曼殊沙華は、天上界って空想の中のリアリティな世界があって、亡くなった側の
物語が中心に展開されていったのが話として見ていて面白い部分だなって思いました。
それからちゃんと残された方にも救いがあって、後味の悪さが残らなくて重たいテーマの
中でも見やすい舞台でした。
見ていた中で、大地の成長が凄く良かったかなと思ってて、話の始まりと終わりで
体感的に感じられたので、演者の北原さんの役作りが上手いんだろうなって思いました。
神さんがずっと成仏しなかった心残りの部分は初見では計り知れなかったかなと思ってます。
良かったです。
当たり前に毎日を過ごしてて、毎日を生きることに精いっぱいで、意外とみんな周りの事に気を配ることが
難しくて、一分一秒を大切に過ごすって、他人に言われればそんなの当り前って思うのに
実行することは難しい。だからこそ、テレビでも本でもネットでも何でもよくて、改めて
考えることが大事なことだなって思います。
死は万人に訪れる不変のものだけど、特に自分の周りの人が明日には居ないなんて思えないし、
考えたくないものだから本能的に避けている部分もあって、怒ったり喧嘩したりもあると思うけど
繋がりを大事にしていかないといけないなって思います。
小指のグラフィティーの鳥姉とは全然違った綾乃さんを見られて良かったと思います。