『悪を聞くともすなわち悪むべからず、

恐らくは讒夫の怒を洩すことを為さん。

善を聞くとも、急に親しむべからず、

恐らくは奸人の身を進むることを引かん。』

 

悪い評判を耳にしても、軽々しく信用して、その人を憎んではならない。

なぜなら、自分の怨みを晴らすために人の悪事を捏造して言いふらしているかもしれないからである。

よい評判を耳にしても、すぐに信用して、その人と親しくしてはならない。なぜなら、悪賢い人が、立身出世をしたいがために、自分でちょっとよい評判を流して取り入ろうとしているかもしれないからである。

 

「菜根譚  著者 釈宗演  訳 齋藤孝」より