「ねぇ、光くん。前言ってた先輩ってどんな人だったの?」
「俺の憧れの先輩。小さい頃、俺、いじめられっ子だったんだ。身体が細くてそんなに強くなくてさ。そんな俺をいつも気にかけてくれた。色々鍛えてもらったりもしたんだ。」
「そうだったんだ。その人とはもう連絡取れないの?」
「ん〜あの件以来、全く連絡してない。怖くてできない。」
「でも、仲直りはしたいんだよね?」
「ああ。できればね。でも、難しいかな。向こうが嫌がると思うから。」
「う〜ん、何とか元通りになるといいね。」
私たちは本屋さんに着くとお互いに好きなジャンルのコーナーに行って少し立ち読みをしながらブラブラと中を歩いていた。
「雪ちゃん、欲しい本あった?」
「うん、この雑誌買おうかなって。」
「俺は、今日はやめとこうかな。」
そして、私がレジでお会計を済まして二人で帰ろうとした時だった。
「おい!光!」
誰かが光くんの名前を呼んだ。
「・・・先輩?」
光くんが、その声の主を見た瞬間、怖がっているような驚いた顔をした。