夏の魔物とは何者か、と問われると簡単に説明するのはなかなか難しい。
ロックフェスティバル「AOMORI ROCK FESTIVAL 〜夏の魔物〜」の主催者である成田大致によって結成された、歌って踊ってプロレスするエンタメユニット、とWikipediaには書いてあるが、1月6日のライブはその方向性に変化をもたらす、いくつかのポイントがあったので、まあ誰に向けるともなく書き留めておく。
この日のライブはUstreamで配信されアーカイブも残っている。
夏の魔物の今後に変化をもたらすであろうポイントのひとつ目は、既にネットで発表されていたメンバー塚本舞（愛称まいぷに）の体調不良による脱退だ。この日、本人の口から正式に告知された。3月17日に卒業公演をおこなうことも発表された。
まいぷには、Hカップグラビアアイドルの容姿とハイトーンボイスによる本格歌唱とで、もうひとりの女性ボーカル・泉茉里（aka いずこねこ、ケンドー・チャン）と共に、成田のボーカルを支える大事な柱だったので、脱退の影響は少なくないはずだ。
もうひとつは、シン・マモノBANDと称するバックバンドの結成だ。これまでも昨夏のフェスなどで特別編成のバンドを従えてパフォーマンスをすることはあったが、この日に登場したバンドはパーマネントな物になるらしい。
同時にユニット名のマイナーチェンジも発表された。「夏の魔物」から「THE 夏の魔物」へ。会場からは失笑も漏れたが成田は「THEって付いてたらロックバンドでしょう。THE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWS、THE ROOSTARS、THE ピーズ、THE 夏の魔物、ほらね！」と、ロックバンドであることを強調した。
最後は、新メンバー麻宮みずほの加入。これはアイドルオタクなら普通に腰を抜かすレベルの衝撃発表だった。シン・マモノBANDお披露目、まいぷに脱退のお知らせからツアー日程発表、ユニット名の変更まで、既に頭がパンパンの状態でのトドメの一撃。
一応説明しておくと、新メンバーのみずほちゃんは、昨年いっぱいで活動休止したBELLRING少女ハートの最重要メンバー「朝倉みずほ」で、グループを辞めた後はアイドルを引退すると思われていたのだ。
新メンバーとして呼び込まれ、最後の曲を一緒に歌ったみずほちゃんがとても楽しそうだったから私は応援したい気持ちになったが、その後のドルオタ界隈の反応はプチ炎上状態で、当然ながらベルハーヲタを中心に非難する声も多く見受けられる。
THE 夏の魔物加入を決めたいきさつを中心にしたインタビューがサイトにアップされている。
メンバーの脱退発表ということで感傷的なライブにすることもできただろうし、実際まいぷには何度も目を潤ませながらパフォーマンスをしていたが、怒濤の告知でファンにはそんな隙を与えない。まいぷにも自身のブログに「みんなが前を向いて進んでいってるんだな、ということを知ったライブだった」と記している。成田大致という男はしばしばこういう冷徹さを見せてくる。
成田大致は冷徹な野心家だが、塚本舞を見いだしたのは彼だ。彼女のいない夏の魔物の穴をいかに埋めるか、その答えのひとつが麻宮みずほ加入だというのが面白い。歌がうまいセクシーアイドル枠に、歌がうまくもセクシーでもないけど天才的なアイドルをぶち込んできたのだ。
「2017年はTHE 夏の魔物の黄金期になる！」と大内雷電は宣言した。ロックバンド・THE 夏の魔物を成田大致がどのように舵取りしていくのか。注目していきたい！
