タヌタヌエンパイア | 仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz)

タヌタヌエンパイア

柔和な笑顔だった。

その笑顔は
作り物っぽい嘘臭さを
微塵も感じさせない
心からの笑顔に見えた。

その者は、タヌキと呼ばれた。

希望のある言葉を威勢よく並べて
みんなに夢を持たせた。
その瞳は
紛れもない本心を語っているように見えた。

その者は、タヌキと呼ばれた。

その笑顔や言葉を
疑う者も多くいた。
矛盾や疑問はその笑顔と弁舌で
うやむやに流された。

その者は、タヌキと呼ばれた。

思惑通り、皆の代表に選ばれた。
多数決でそれは決まった。
反対していた者は
いつか真実が彼を裁くと、奥歯を噛みしめた。

その者は、タヌキと呼ばれた。

ついに王にまでのぼりつめた。
自分の利益だけを考えて動いた。
反対する者は投獄するか脅して黙らせた。
最早、彼を止められる者はいなかった。

その者は、タヌキと呼ばれた。

彼を称える者は
王が享楽的な生活にも飽き
文字通り、タヌキとなって
国を捨て山に帰った事実から目を背け

今もなお、理想的が王室が
そこにあると信じ続けている。

元々お飾りであった王などおらずとも
王政は滞りなく運営されている。

あと何年その国がもつのか。

あるいは
実はもう滅んでいるのかもしれない。

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