猫が殺した好奇心 | 仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz)

猫が殺した好奇心

その猫なで声は甘く
ぼくの脳髄を溶かして

そのセルリアンブルーの瞳は
ぼくの水晶体を焼いて

そのしなやかな身体に秘められた
湾曲した鋭利な爪は
ぼくの右心房を刺し貫いた。

あふれだす生温かい血流は
真っ白なお花畑を真っ赤に染め

きみは河川敷の階段に捨てられた
シケモクでも見るかのような態度で
ぼくを見下ろす。

息絶えようとしているぼくの脳裏に
とうの昔に忘れていた幼少からの記憶が
流れ始める。

そして思い知る。

ぼくはきみとは不釣り合いにも程がある
生き方しかしてこなかったことを。

その事実から目をそらして
自分を高める努力もなしに
きみを求めていたことを。

きみはブロック塀から飛び降り
ぼくの上に着地して
口から寄生虫を吐き出した。

うねうねとうごめくそれは
ぼくの傷口に集まり
雑菌を食べてくれた。

一方的な愛情を押し付けたぼくに
きみが見せてくれた最後の優しさに
ぼくは謝罪も感謝も告げられず
ただただ涙を流した。

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