シュリンプズドリーム | 仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz)

シュリンプズドリーム

海の底の砂はあたたかく
干したて布団のよう。

色とりどりの珊瑚は
春の花畑のよう。

海面から差し込む光は
風に揺れるカーテンから漏れる
朝の光のよう。

ゆらゆら漂うプランクトンをぱくり。
母さんが作ってくれた
レモンケーキの味がする。

父さんを追いかけなかった母さんは
お爺ちゃんとお婆ちゃんの世話を
たった一人でこなして
いつもくたびれた顔をしていた。

母さんが運転する車で
月曜から土曜まで、僕は学校へ。
お爺ちゃんとお婆ちゃんは
デイケアへと送ってもらっていた。

あの日、母さんは一言も口を利かず
いつもと違う道を走っていたっけ。

母さん?

いや、エビであるぼくの母さんは
当然のことながらエビ
あんな姿はしていなかった。

ニンゲンの猟師に網ですくわれて
引きちぎられた頭が
船の上から海の底に落ちてきたのだ。

あの夢は、ニンゲンだった夢は、
こんな残酷な世界から逃げ出したいという
ぼくの願望が生み出した
幻なのかもしれない。

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