300円の曇天 | 仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz)

300円の曇天

うす曇りの空に
大角を振りあげて
固い木の幹に
打ちつけて

自己嫌悪とか
変えられないもどかしさとか
思い出したくもない過去とか
色々な恨みつらみが
消えてなくなればいいが

そうシンプルにはいかない訳で
角が傷ついて痛いだけで

不意に雲の切れ間から
差しこんだ太陽の熱に
少しだけ慰められた気になって

そんな些細なことに
癒しや喜びを感じている自分に
また同じ思考回路に陥って

生まれつき持つ
固いカブトの中に
閉じこもってしまう俺なのに

強そう」とか「カッコイイ」とか
肯定してくれるニンゲンは
疲れ果てたソーシャルワーカーか
腹の底に嘲笑を抱えた
いけ好かない詐欺師に見えて仕方がない。

かといって自暴自棄になって

300円の値札のついた
デパートの虫かごから
2000円の値札のついた
外国産の大きなカブトを横目に

奴隷として主人を待つ生き方を
選択する覚悟すら持てず

また日の光を覆った雲の下
振り下ろす先のない
大角を振り上げて
迷うのだ。

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