MAINAMIND~思い通りにいかなくとも必ず乗り越えてみせる~

出会い編

 

「それは何も言わない月のせい

ひゅるり ひゅるら ohh oh

 悪戯好きの冬の精

 捕まえて~」

 

それは華やかな渋谷のアイドルのライブ会場が、瞬時にバーボンが似合うアメリカのR&Bバーに変貌した瞬間だった。

 

時は2019年3月、当時まだヒューストン駐在中で急遽決まった日本出張。特に夜の予定がない僕は、推しが卒業して1年経ち、なにか面白いグループはいないかな?と軽い気持ちで渋谷のアイドルフェスに参戦した。正直言うと、ももクロの妹分のたこ虹が主目的であった(特にくーちゃんね)。ネット等で噂になって気になっていた大阪春夏秋冬が出演するし、丁度いい。たこ虹は予想通り可愛い。僕はアメリカでの切った貼ったの仕事から一時解放され、彼女達の可愛さに癒されていた(特に紫のサイリウムを持っていた僕に手を振ってくれたくーちゃんに)。

 

その後、大阪春夏秋冬の出番になる。YouTubeでチェックしていた通りロック調の曲を迫力のあるボーカルと激しいダンスで魅せる。「これは全然アイドルのイメージと違うな、面白い!いいね!」そういう感じでパフォーマンスが始まった。6人のバリバリのダンスが気持ちいい。しばらくすると、いきなりラップが始まる。ん?なんだ、この曲?雰囲気全然違う。マイナの語りかけるようなラップ「久しぶりに選ぶCD前聴いた時よりいい感じ、年取ったかな」

 

おっ?なんか昭和感があるな

と思ったのもつかの間

 

「それは何も言わない月のせい~ひゅるり、ひゅるり、ohh oh~」とマイナのソウルフルな歌声が会場全体に響く。渋谷がGeorgia, Atlantaに変貌した。

 

なんだなんだ?このグルーブ感?!しかも、ほのかに大阪独特のニュアンスあるのが、かっこいい。。。うあ、これやばいやつや。。

 

完全にマイナの歌声が僕の琴線に触れた。名曲「ひゅるり」の彼女の歌声がむちゃくちゃかっこいい。アイドルフェスで予想しなった、急展開に自分の心の高鳴りを感じた。この曲のマイナの歌声のインパクトが強すぎて、正直その後の曲はあまり覚えていない。ライブ後、彼女、マイナはロックやポップスよりも、R&BやJAZZを歌ったら絶対にはまるのではないか?ただそうした僕の漠然とした思いだけが記憶に残った。

 

ライブ終わりに週末の土曜日に新曲発表会のリリースイベントがありますとの告知があった。リリースイベントなど参加したことない僕は迷っていた。

 

 

 

 

リリースイベントって何だろう?楽しいのかな?新規だから変なオタクに絡まれるかな。。でもあの歌声はをもう一度聴きたいな、折角の日本出張だし、今後いつ戻ってくれるか分からないなあ。。。やっぱ、行くしかない!

 

と決心した。しかし、予定を見るとその時間は、3年ぶりに丁度友人家族と会う約束がある。わーあきらめるかな、どうしょうと迷った。でもあの歌声にはなかなか出会えないよなとの想いからやっぱ行きたい。親しい友人に急用ができたので誠に申し訳ないが時間ずれせるかと聞くと、快く調整してくれた。ごめんな友人家族わがままを聞いた頂き、ありがとうございます。

 

リリースイベント当日、錦糸町のTower Recordsの小さな会場に到着。CDを買えば特典会に参加できるとのことで、ドキドキしながら購入。大箱のももクロしか知らない僕は、これまでこうした特典会には参加したことがなかった。ミニライブが終わり、いよいよ特典会。好きなメンバーと写メが取れるとのことで迷わずマイナのところに。近くで見るマイナは大きく見えたあの迫力パフォーマンスと裏腹に小さい。しかも静かで控えめ。なんだこのギャップは。。僕の順番になりアメリカから来た事を伝えると、とても興味深げに話しを聞いてくれ、彼女の吸い込まれそうなほど純粋な目に見つめられた。まるで自分の心の奥底を見抜かれるようなあの透き通った目に。その瞬間、「あ、だめだ」と静かにつぶやいた僕の心は完全にマイナに鷲掴みにされていた。

 

その後、短い日本出張が終わり後ろ髪惹かれる想いでヒューストンに戻る僕は機内で大阪春夏秋冬をPlaylistに追加していた。また日本に帰国して彼女の歌声を再び聞くことを楽しみに。

 

終わり