アナーキー | ルノアール日録

アナーキー

クリスマスイヴの夜、敢えて(笑)日本のパンクロックの草分け的なバンドの一つ“アナーキー”を描いたドキュメンタリー映画『アナーキー』を、シアターN渋谷で鑑賞。

日本のパンク/ニューウェーブというと、東京ロッカーズや“関西ノーウェーブ”勢をはじめ、どちらかといえばニューヨーク(US)パンクの影響が強いバンドが多いイメージなのだが、その中でアナーキーは、ロンドン(UK)パンクの影響をダイレクトに表現した最初期のバンド、というふうに捉えることができるだろう。

流石に元アナーキー親衛隊の監督が作っただけあって、1980年前後の初期アナーキーの熱過ぎる(バンドと客の距離が異様に近い、というか殆ど入り乱れているサマ)ライヴ映像、親衛隊などファンの強烈な姿(パンク/ニューウェーブのフィルムを観るといつも思うのだが、洋の東西を問わず、バンド自身よりもファンの姿の方が、見た目的にも行動的にも強烈なオーラを発している)やメンバーのオフの姿、当時のテレビ番組における宇崎竜童による親身なインタビューなど、貴重な映像がふんだんに盛り込まれている。

……のだが、それらが縦横に切り刻まれて編集されている上、現在のメンバーや様々なミュージシャン(人選がなんか、イマイチ)へのインタビューが被さったり挿入されたりしているので、ライヴ映像、及び映像とシンクロした演奏・楽曲をじっくり観聴きしたい当方としては、些かストレスフルな作りだったのが残念。

メンバーの内、逸見泰成(マリ)の独りヴィジュアル系を先取りしていたかのようなルックスが目を引く。諸々のジャンルがまだまだ未分化だった時代ならでは、というべきか。