夏と言えば、そう。怖い話だ。



ということで、今宵は私が皆様に、身の毛もよだつ本当にあった怖い話を披露しよう。



タイトルは、「ボキャブラリー」。




「ボキャブラリー」とは、つまり簡単に言うと、「自分が意味を知っている言葉」のことである。



例えば、「変態」という言葉が自分のボキャブラリーに入っていれば、


「私は変態である」


という文を見たとき、「あ、この人には近づいちゃいけない」と言うことが分かるが、「変態」という語が自分のボキャブラリーにないと、迂闊に近づいて痛い目に遭うかもしれない。



つまりボキャブラリーは、人間が社会生活を送る中でとても重要な役割を持つのである。




私が家庭教師に行っているお宅のひとつに、中3の女生徒がいる。


これは私がそのお宅で、先日実際にこの身で体験した実話である。



彼女は今、漢検の3級取得に向けて勉強に励んでいるのだが、相当にボキャブラリーが乏しかった。


特に二字熟語、四字熟語に関して、ほとんどその言葉の意味を知らないのである。



「異端」「苦言」「抽象」「負債」など、これらの言葉を知らないのだ。


私は愕然とした。



四字熟語についてはもっと酷く、「単刀直入」「天衣無縫」「千客万来」「暗中模索」など、書けないにしてもせめて聞いたことはあるだろうという言葉も、まったく知らないと言う。


私は愕然とした。



よって私は彼女にアドバイスを送った。



君は漢字を勉強する前に、もっと言葉を知らないといけない。


勉強してて分からない言葉があったら、辞書で調べたりしながら、自分のボキャブラリーを増やさないといけないよ?




すると彼女は不思議そうに言った。



「・・・もっとたくさんの図書館に行けってことですか?」




「・・・・・」




私、しばし沈黙。



そしてひらめいた。




「それライブラリー!!!」




そもそも、彼女のボキャブラリーの中に「ボキャブラリー」という言葉はなかったのである。



私は・・・


あまりの恐怖に身動きすら取れなかった・・・







ではまた!

君は早くライブラリーに行ってボキャブラリーを増やしなさい。

もひっ!