久々の矢来能楽堂。

九皐会の若竹能。演目は、

吉野天人と大江山。

吉野天人は、天人揃という小書(特殊演出)付。

即ち天女がたくさん(といっても四人ですが)出てくる訳。

これは初めて見る。

「吉野天人」というお能、

謡のお稽古で、最初に習う三番目物。

簡単に言えば、一般の方が想像する、柔らかいお能。

女の子が出てきて、優雅に舞うというのかしら。

天女物は、有名なのは「羽衣」だけど、

まぁ似たような感じ。

「大江山」は、「大江山に鬼住むとは」と古歌に曰く、

源頼光の、酒呑童子退治のお話。

 

大江山のおシテは、私の謡の師匠。

 

「吉野天人」、

都人が、吉野山の桜詣に行き、綺麗な女性に出会う。

地元のものだというけど、

ちょっとやんごとなき風情なので、素性を尋ねると、

実は天女で、吉野の桜に惹かれて舞い降りたと言い、

信心を為すなら、奇瑞を披露すると言い、山中に消えていく。

夜もふけると、空から花が振り、妙なる音楽と、馨しい香と

共に、天女が降臨、古から伝わる舞を披露。

泰平の御代を寿き、桜を愛でつつ、袖を翻しながら、

天上に去っていくというもの。

 

本来なら、シテの中の舞(太鼓付である!)なのだが、

今回は、四人もいるから、それは豪勢!

またお装束が綺麗で、小面がそれはそれは可愛らしい。

女の子が、可愛く舞うのを佳き、と思うのは、

アイドルさんと一緒で、何となく通じるものがある。

 

休憩とお仕舞五番(観世喜之先生の「龍田!」が白眉)

田村がクセだったのと、山姥がキリだったのは意外。

個人的趣味は、山姥はクセ舞でしょう?

田村はキリでしょう、、、

 

「大江山」は、まぁスペクタクルなもの。

前シテが童子、後シテが鬼で、ドッタンバッタンと

派手な動きがあるもの。

個人的には前シテの「さてお魚は何々ぞ」と曰う舞が

好きだけど、中入後の派手な動きは、あまり好きではない。

そして頼光と引っ組んで、切り伏せられ、最後は「仏倒れ」

(流派によっては「仏壇倒し」とも言うけど)、

後ろ向きにそのまま倒れる型。

私は見慣れているけど、見所では、どよめきがあった。

あとで奥様に訊いたら、昨夜盛んに稽古していたらしいww

 

矢来能楽堂は、大きくないけど、響きもちょうど良くて(適度に音が拡散する)、

好きな能楽堂。

能管と小鼓大鼓、太鼓の音。本当に気持ちがいい。

でも見所奥の座敷に、モニター(多分言葉を映していた?)

があったのは、イマドキだなぁ、とも。

あとは、以前あった喫煙場所が無くなったのが残念。

これは仕方ない。

 

今、TVで、金剛流の「檜垣」を演っているので、観ながら書いているけど、

やっぱり「弱いもの」が好きだなあ。