観劇してからもうだいぶ経ちますが、フランスで話題になったミュージカル、ロックオペラモーツァルトの感想を書きたいと思います。
これね、なんか知らんけど二回も記事作成中に強制終了してブッとんで一気にやる気なくなったんですが、書きます。頑張ります。次飛んだら泣く。
さて、ミスサイゴン以来の梅田芸術劇場。
これをみようと思ったのは「モーツァルトのミュージカルがロックになったら面白そうやん」って理由だけです。本当に。
実際、キャストの中で特にお目当てがいるわけでもなく、というかそもそも生で観たことのあるキャストが一人もいなかったので、ある意味先入観なく新鮮な気持ちで観にいくことを決めた。
当日のキャスト。
“『ロックオペラ モーツァルト(ルージュVer.)』~2013年2月22日公演キャスト【マチネ】”
モーツァルト /中川 晃教コロレド大司教、後見人/コング 桑田
サリエリ /山本 耕史 ローゼンベルク伯爵 /湯澤 幸一郎
コンスタンツェ /秋元 才加 アンナ・マリア /北村 岳子
運命、宿屋の主人 /鶴見 辰吾 歌姫(カヴァリエリ) /北原 瑠美
セシリア /キムラ 緑子 ダ・ポンテ /上山 竜司
レオポルト /高橋 ジョージ ヨーゼファ /栗山 絵美
ナンネール /菊地 美香 ゾフィー /平田 小百合
アロイジア /AKANE LIV 苦悩 /高橋 竜太、大野 幸人
フリードリン、ヨーゼフ2世/酒井 敏也
この演目は、モーツァルト役とサリエリ役を、中川さんと山本耕史さんの二人が、公演日ごとに交互に入れ替わって演じるという、今流行りのシャッフル公演である。
この日の主演のモーツァルト役は中川晃教さん。
この人はウイーン版のミュージカル、モーツァルト!(以降、M!と言います。)にもキャスティングされていて、ずっと観てみたいと思っていたが中々みれなかった。
そんな彼がロックオペラモーツァルトで再びモーツァルトを演じるんだから、これは観るしかないだろう、と思いこのキャスティングの日を選択。
初見で見たこの中川晃教は、歌がすばらしくうまく、高音がどんどん伸びる。これは聞いていてとても気持ちいい。
そして彼、モーツァルトの破天荒ぶりや繊細さを演じるのが実にうまい。本当にうまい。
早くも圧倒された。「M!」もこの人で観ておけばよかったと後悔。
そして一幕最後の曲では、これでもかと言わんばかりの声の伸び具合と声量で、こりゃ人気が出るわけやと思った。
一方、モーツァルトの才能を妬み、そして憧れ、それに苦しみ続けるサリエリを演じるのが、これまた初めて見る山本耕史さんだ。
彼は一般俳優というイメージがあったので、歌が少し不安だったが、歌い出すとその不安は消え去った。
ほどよいハスキーな声質と魂のこもったビブラートが、何ともこのロックな曲調に合う。これはかっこいい。
そして彼の演技力はさすがで、モーツァルトに対する複雑な嫉妬や葛藤がひしひしと伝わってくる。
中川晃教と山本耕史は、お互いとてもいい素質を持っていて、それが良い感じに中和し、結果すばらしい舞台を作り上げることに成功している。逆バージョンも観て見たい。このダブルキャスティングを考えた人はすごい。
なんてんだろ、うまく言えないけど、素晴らしいカレー粉と素晴らしい野菜を煮込んだら美味しいカレーが出来上がるみたいな感じかな。違うか。
まあいいや、続ける。
そしてそこにスパイスとして活きるのがこのロックオペラな音楽だ。
このミュージカルの音楽は、もはやミュージカルというよりはほぼ完全なロックだと言って良い。
そしてそのロックがめちゃくちゃカッコいいのだ。特に、序盤のモーツァルトが酒場で歌い上げるナンバーや、サリエリがモーツァルトの楽譜を見てその素晴らしさに苦しみながら歌うナンバーが特にカッコいい。
ではそろそろ他の出演者について。
まず驚いたのは、モーツァルトの妻コンスタンツェ役の、秋元才加の意外な歌のうまさだ。
声がもともと良いのか、ライバルのアロイジア役のAKANEさんと歌っても遜色なかった。
そして単に歌えるだけでなく、コンスタンツェの芯の強い部分もちゃんと演じられていた。これはいい。
AKBがミュージカルにまでどんどん進出してきているが、うまければ大歓迎だ。
そしてもうひとつウェーバー一家の母を演じるキムラ緑子がよかった。
役としてはすごく意地悪で嫌な役なのに、この人のコミカルな演技によって、どこか憎めない感じになっていて面白かった。
こりゃダメだと思ったのがモーツァルトの父、レオポルト役の高橋ジョージ。
ミュージカルというか舞台初出演らしいので若干は仕方ないが、さすがにもう少し滑舌を直してほしいというのが本音だ。
声はロックなテイストにはとても合っていたが、あのジョージ節というか、あれでそのまま歌われてはレオポルトの忠実さが感じられない。
演技はなかなか良かったので、これこらに期待ですね。
これ、作品としてはどうなんだろうか。
今回、同じモーツァルトを題材にしたミュージカル、M!と比べて決定的な違いは、サリエリの登場である。
映画のアマデウスファンなら、サリエリの登場は嬉しいはず。俺もサリエリを見てみたかったから期待していた。
しかし、サリエリは狂言回しで物語を進めて行き、サリエリの視点からはモーツァルトに対する思いが十分伝わるが、モーツァルトの視点からのサリエリへの思いがほとんど描かれていない。
これでは、ラストのサリエリとの対面シーンに説得力が無くなってしまう。
このあたりのお互いの心情が、脚本的に不十分だったのが残念。
あと、あの「運命」ってやつ。
どう見てもデーモン閣下にしか見えないんですけど。
オリジナル版にも登場するので、仕方無かったとは思うが、あれ、いらんやろ。
どうもあれを擬人化する意図がつかめない。
など、気になる点はけっこうあるんだが、主演2人が特によかったので、最後には、まぁいいや!って思わせてくれる。
曲の洗練度は、断然ウイーン版のM!の足元にも及ばないのは正直なところだ。
しかし、自分はM!の曲が本当に大好きなので、どうしても比べてしまうが、考えればこれはM!とは全く違ったジャンルの曲だ。比べること自体がナンセンスなんだと気づいた。
とまあ、こんな感じです。
とにかくカッコよく、ショー的な要素もあり、楽しめる内容でした。
また再演する時は、是非山本モーツァルト版でみたいですね!
これね、なんか知らんけど二回も記事作成中に強制終了してブッとんで一気にやる気なくなったんですが、書きます。頑張ります。次飛んだら泣く。
さて、ミスサイゴン以来の梅田芸術劇場。
これをみようと思ったのは「モーツァルトのミュージカルがロックになったら面白そうやん」って理由だけです。本当に。
実際、キャストの中で特にお目当てがいるわけでもなく、というかそもそも生で観たことのあるキャストが一人もいなかったので、ある意味先入観なく新鮮な気持ちで観にいくことを決めた。
当日のキャスト。
“『ロックオペラ モーツァルト(ルージュVer.)』~2013年2月22日公演キャスト【マチネ】”
モーツァルト /中川 晃教コロレド大司教、後見人/コング 桑田
サリエリ /山本 耕史 ローゼンベルク伯爵 /湯澤 幸一郎
コンスタンツェ /秋元 才加 アンナ・マリア /北村 岳子
運命、宿屋の主人 /鶴見 辰吾 歌姫(カヴァリエリ) /北原 瑠美
セシリア /キムラ 緑子 ダ・ポンテ /上山 竜司
レオポルト /高橋 ジョージ ヨーゼファ /栗山 絵美
ナンネール /菊地 美香 ゾフィー /平田 小百合
アロイジア /AKANE LIV 苦悩 /高橋 竜太、大野 幸人
フリードリン、ヨーゼフ2世/酒井 敏也
この演目は、モーツァルト役とサリエリ役を、中川さんと山本耕史さんの二人が、公演日ごとに交互に入れ替わって演じるという、今流行りのシャッフル公演である。
この日の主演のモーツァルト役は中川晃教さん。
この人はウイーン版のミュージカル、モーツァルト!(以降、M!と言います。)にもキャスティングされていて、ずっと観てみたいと思っていたが中々みれなかった。
そんな彼がロックオペラモーツァルトで再びモーツァルトを演じるんだから、これは観るしかないだろう、と思いこのキャスティングの日を選択。
初見で見たこの中川晃教は、歌がすばらしくうまく、高音がどんどん伸びる。これは聞いていてとても気持ちいい。
そして彼、モーツァルトの破天荒ぶりや繊細さを演じるのが実にうまい。本当にうまい。
早くも圧倒された。「M!」もこの人で観ておけばよかったと後悔。
そして一幕最後の曲では、これでもかと言わんばかりの声の伸び具合と声量で、こりゃ人気が出るわけやと思った。
一方、モーツァルトの才能を妬み、そして憧れ、それに苦しみ続けるサリエリを演じるのが、これまた初めて見る山本耕史さんだ。
彼は一般俳優というイメージがあったので、歌が少し不安だったが、歌い出すとその不安は消え去った。
ほどよいハスキーな声質と魂のこもったビブラートが、何ともこのロックな曲調に合う。これはかっこいい。
そして彼の演技力はさすがで、モーツァルトに対する複雑な嫉妬や葛藤がひしひしと伝わってくる。
中川晃教と山本耕史は、お互いとてもいい素質を持っていて、それが良い感じに中和し、結果すばらしい舞台を作り上げることに成功している。逆バージョンも観て見たい。このダブルキャスティングを考えた人はすごい。
なんてんだろ、うまく言えないけど、素晴らしいカレー粉と素晴らしい野菜を煮込んだら美味しいカレーが出来上がるみたいな感じかな。違うか。
まあいいや、続ける。
そしてそこにスパイスとして活きるのがこのロックオペラな音楽だ。
このミュージカルの音楽は、もはやミュージカルというよりはほぼ完全なロックだと言って良い。
そしてそのロックがめちゃくちゃカッコいいのだ。特に、序盤のモーツァルトが酒場で歌い上げるナンバーや、サリエリがモーツァルトの楽譜を見てその素晴らしさに苦しみながら歌うナンバーが特にカッコいい。
ではそろそろ他の出演者について。
まず驚いたのは、モーツァルトの妻コンスタンツェ役の、秋元才加の意外な歌のうまさだ。
声がもともと良いのか、ライバルのアロイジア役のAKANEさんと歌っても遜色なかった。
そして単に歌えるだけでなく、コンスタンツェの芯の強い部分もちゃんと演じられていた。これはいい。
AKBがミュージカルにまでどんどん進出してきているが、うまければ大歓迎だ。
そしてもうひとつウェーバー一家の母を演じるキムラ緑子がよかった。
役としてはすごく意地悪で嫌な役なのに、この人のコミカルな演技によって、どこか憎めない感じになっていて面白かった。
こりゃダメだと思ったのがモーツァルトの父、レオポルト役の高橋ジョージ。
ミュージカルというか舞台初出演らしいので若干は仕方ないが、さすがにもう少し滑舌を直してほしいというのが本音だ。
声はロックなテイストにはとても合っていたが、あのジョージ節というか、あれでそのまま歌われてはレオポルトの忠実さが感じられない。
演技はなかなか良かったので、これこらに期待ですね。
これ、作品としてはどうなんだろうか。
今回、同じモーツァルトを題材にしたミュージカル、M!と比べて決定的な違いは、サリエリの登場である。
映画のアマデウスファンなら、サリエリの登場は嬉しいはず。俺もサリエリを見てみたかったから期待していた。
しかし、サリエリは狂言回しで物語を進めて行き、サリエリの視点からはモーツァルトに対する思いが十分伝わるが、モーツァルトの視点からのサリエリへの思いがほとんど描かれていない。
これでは、ラストのサリエリとの対面シーンに説得力が無くなってしまう。
このあたりのお互いの心情が、脚本的に不十分だったのが残念。
あと、あの「運命」ってやつ。
どう見てもデーモン閣下にしか見えないんですけど。
オリジナル版にも登場するので、仕方無かったとは思うが、あれ、いらんやろ。
どうもあれを擬人化する意図がつかめない。
など、気になる点はけっこうあるんだが、主演2人が特によかったので、最後には、まぁいいや!って思わせてくれる。
曲の洗練度は、断然ウイーン版のM!の足元にも及ばないのは正直なところだ。
しかし、自分はM!の曲が本当に大好きなので、どうしても比べてしまうが、考えればこれはM!とは全く違ったジャンルの曲だ。比べること自体がナンセンスなんだと気づいた。
とまあ、こんな感じです。
とにかくカッコよく、ショー的な要素もあり、楽しめる内容でした。
また再演する時は、是非山本モーツァルト版でみたいですね!