なこみくが引っ張るHKT48 楽しいを更新し続ける全国ツアーの“仕掛け” | 欠伸芝(AKB48、DD宣言中→みーおんこと向井地美音推し)のブログ

楽しいを更新し続ける“新生”HKT48全国ツアーの“仕掛け” 矢吹奈子&田中美久の存在感
5/11(水) 11:30配信 エンタメNEXT

 

 

4月8日に横須賀でスタートしたHKT48の全国ツアー『Under the Spotlight』。2019年に開催された九州ツアー以来、じつに2年半ぶりのツアーとなる。コロナ禍で演出が制限され、さらに村重杏奈や田島芽瑠など1期生、2期生の卒業が相次いだ今、どんな新しいステージを見せてくれるのか。神奈川・東京・愛知を回り、5月7日には田中美久の地元・熊本に凱旋を果たしたツアーの模様をグループを長年取材し続けている小島和宏記者がレポートする(前後編の前編)。


かねてから「HKT48のコンサートは楽しい!」という定評があった。その評判が広がり、グループの人気が高まっていった、という側面もある。それだけに2年以上、ツアーができない、というのはメンバーにとっても、ファンにとっても厳しすぎる日々だった。昨年、森保まどかと宮脇咲良の卒業コンサートが行なわれ「やっぱりHKT48のコンサートは面白い!」と再確認したばかりなので、まさに今回のツアーはファン待望だった。初日の横須賀公演は平日開催だったのに、昼公演から満員の観客が押しかけたことでも、いかに待ち望まれていたかがわかる。

ただ、これまでとは状況が大きく変わってしまった。

HKT48のコンサートの楽しさは会場が一体となるところ。ファン時代、横須賀でのコンサートを見に来た渡部愛加里が「さっしーさんがトロッコですぐそばまで来てくれた」と目を輝かせながら語っていたが、ホール規模のライブでもそこまでやってくれたし、時には2階席や3階席にいきなりメンバーが登場する、という演出まであった。

コロナ禍では、そういった客席に降りていくような演出は難しい。つまり、コンサートはステージ上で完結し、それをスタンディングなし、声援なし、マスク着用という状況で見てもらうことになる。これで「楽しい!」と思ってもらうのはかなりハードルが高い。

新しい「HKT48のコンサートは楽しい!」のカタチ
その分、ステージ上はかなり充実したセットが組まれた。

3段重ねのステージのうしろには複数のパネル型のスクリーンが設置され、そこには事前に撮影したメンバーのリップシーンなどが映しだされる。わざわざ、このためだけに撮り下ろされた映像。日替わりで登場するメンバーもいて、そのメンバーの映像もしっかりと確認できたので、これは相当な手間ひまがかかっている。

ただ、ステージの様子を映し出すスクリーンはない(ライブ配信されている公演に関しては、その映像は流されている)。どうしてもメンバーの表情がどアップになっているスクリーンを注視してしまうが、ふと視線を落として驚愕した。全員でのパフォーマンスでのフォーメーションが非常に美しい! センターには矢吹奈子が立っているのだが、センターというよりも先頭に立ってメンバー全員をけん引しているような構図に見えた。特に横須賀と渋谷は田中美久が出演できなかったため、矢吹奈子への負担が大きくなっていたはずなのだが、もはや貫禄すら感じさせる存在感で魅了してくれた。

これが新しい「HKT48のコンサートは楽しい!」のカタチ。

新しい、といえば1期生、2期生の卒業が続いたことで、過去の楽曲のオリジナルメンバーがかなり減ってしまった。特に田島芽瑠の卒業により、初期のシングル曲のセンターは全員、いなくなったことになる。

こうなるとHKT48のメンバーがHKT48の楽曲を歌っていても「コレジャナイ感」が出てしまう恐れがある。これはメンバーの入れ替わりがあるグループの宿命でもあり、これまでも何度となく、複雑な気持ちになったものだが、それを打破するためにHKT48はおもいったことを仕掛けてきた。 

それはアレンジをおもいっきり変えて、新解釈ともいうべきものにしてしまう、というもの。特にバンドコーナー(生バンドではないが、事前にバンドによる演奏を録りおろしている)で披露された『74億分の1の君へ』は、歌い出しの時点で「?」となってしまうほどの転生ぶり。豊永阿紀の歌声で、新しいスタイルが動き出した。

豊永だけでなく今回のツアーは4期生の活躍が目立つ。アルバム『アウトスタンディング』収録曲の『あっけない粉雪』では運上弘菜が、そして『HAKATA吸血鬼』では地頭江音々がセンターを務めた。もっといえば、MCコーナーも若いメンバーが仕切るシーンがこれまで以上に多くなっている。

 


田中美久が戻ってきた

 

 

1期生の松岡菜摘が「もう後輩にすべて任せられる」とツアー前に語っていたが、まさにそれが現実のものとなっていた。ちなみに松岡菜摘は「必死になりすぎて忘れてしまったことがあるような気がする。なんにも考えないでひたすら楽しんでみようかな」とも語っていたが、まさにキレッキレでバッキバキのパフォーマンスでステージ上を伸びやかに舞っていた。この相乗効果はなかなか面白いものがある。

中盤には他のアーティストの楽曲をカバーするチャレンジコーナーも設けられたが、いわゆる歌うまメンバーだけでなく、さまざまなメンバーがトライ。それも1人1曲ではなく、他の公演では同じメンバーが別の曲にチャレンジしていたりもしている。これは相当なプレッシャーになりそうだが、ステージ上でコンサートを成立するためには歌声はより重要なパーツになってくる。これもまた新しいHKT48のコンサートの流儀、である。

座って見ているだけでも、十分、楽しくて満足感も高いツアーだが、初日に客席が高まったのが、本編のラストの楽曲のとき、矢吹奈子が「この曲だけ、みなさん立ちましょう!」と声をかけてくれた瞬間。もちろん、コールはできない。ペンライトも振れない。みんなで立ちあがって手拍子をしてください、というものだったが、2年半ものあいだ、コロナ禍で縛りつけられていた鎖から解き放たれたようで、本当に心が晴れた。メンバーが客席に降りていかなくても会場が一体となった喜び……やっぱりHKT48のコンサートは楽しい!

そして、5月からは田中美久が戻ってきた。


5月7日の熊本城ホールは田中美久の凱旋公演でもある(もうひとり田中伊桜莉も熊本出身で感無量の地元凱旋を果たした)。なこみくでセンターを務めた『早送りカレンダー』や、彼女のセンター曲である『君とどこかへ行きたい』は、やっぱりみくりんがいてこそ、なのである。回を重ねて、充実度が増していた内容に田中美久が加わったことで、このツアーの完成度はさらに高くなった。

しかし、熊本城ホールでのプラスアルファはこんなものではなかったのである。(後編へつづく)

 

 

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最年少は10歳!HKT48の6期生お披露目に会場騒然、今村麻莉愛の選抜復帰にファン号泣

 

 

4月8日に横須賀でスタートしたHKT48の全国ツアー『Under the Spotlight』。2019年に開催された九州ツアー以来、じつに2年半ぶりのツアーとなる。コロナ禍で演出が制限され、さらに村重杏奈や田島芽瑠など1期生、2期生の卒業が相次いだ今、どんな新しいステージを見せてくれるのか。神奈川・東京・愛知を回り、5月7日には田中美久の地元・熊本に凱旋を果たしたツアーの模様をグループを長年取材し続けている小島和宏記者がレポートする(前後編の後編)。

5月7日、熊本城ホールで開催されたHKT48の全国ツアー『Under the Spotlight』ではふたつのサプライズが用意されていた。

ひとつは6期生のお披露目。

これは事前に公表されてはいたが、今回のツアーでの定番となっているゲストコーナーに押し込んできたのが面白い。東京ではAKB48、名古屋ではSKE48が登場したのだが、熊本ではHKT48がご当地グループとなってしまうため、いったい誰が来るんだろうか、と話題になっていたが、その枠に6期生が飛びこんできたわけだ。


6期生は18名。平均年齢はなんと14.3歳!

全員で『HKT48』を披露して、堂々のステージデビューを飾り、もう1曲『アイドルの王者』もパフォーマンスしてくれたのだが(他のゲストも2曲披露している)、そのあいだにメンバー紹介のコーナーがあった。

これが初々しいというか、グダグダというか……まぁ、はじめての自己紹介になるので、うまくできるはずがないのだが(当然、自己紹介よりも楽曲のリハーサルに時間をたっぷりと割いているはずだ)、これが夜の部ではほぼノーミスで披露されていてびっくり。この修正能力には、ちょっと期待したくなる。

客席がどよめいたのは、メンバーの年齢が発表されたとき。18人中、小学生が4人もいるのだが、特に最年少の石松結菜が「10歳です!」と言ったときには客席もステージも騒然となった。

HKT48は昨年10周年を迎えた。つまり石松結菜は、そのときまだ生まれていないことになる(他の小学生組はギリギリ結成前に生まれている)。1期生からしたら衝撃的すぎる事実だが、これも長く活動してきた証拠。まさに新しいフェーズに突入したことを実感させられるエピソードである。

終演後におこなわれたメディア取材では、最年長・21歳の最上奈那華と、熊本県出身でご当地デビューを飾った森崎冴彩が代表してあいさつをしてくれたのだが、年長組は非常に落ち着いている印象。最年長の最上と最年少の石松に年齢差はぴったり11歳(偶然にもふたりとも1月28日生まれ)。この幅がこれからどんな「色」を見せてくれるのか、楽しみである。

熊本城ホールはメインステージから広がるようにサイドにもステージがある。

 

 

アンコールのラストの『突然 Do love me!』では、そこに6期生が再登場。両サイドに9人ずつ並んだ光景は新鮮で、マスコミのカメラがおもわず一斉に両サイドを狙って、誰もメインステージを撮っていない、というなかなかなシーンも。お披露目で顔を名前を覚えてもらって、アンコールではより客席に近い場所に再登場というのは、非常に理想的な形だと思う。

もっとも、この楽曲に関してはまだレッスンが終わっていないようで、ほんの一部しか踊らず、あとはメンバー同士でじゃれ合っているような感じだったのだが、それもまた初々しい。そして、そこに矢吹奈子、田中美久、運上弘菜がメインステージから出張してきて6期生と共演する、という見せ場もあった。新鮮すぎるシーンの連続! 新しいHKT48の姿をたくさん見せてきたツアーで、究極の新しさが炸裂した。

もうひとつのサプライズは新曲『ビーサンはなぜなくなるのか?』(6月22日リリース)の発表だった。

アンコールがはじまる前にスクリーンで選抜メンバーを発表し、そのまま新曲を初披露、という流れだったのだが、メンバー発表で場内の空気がとんでもないことになった。

最初は拍手で発表にリアクションしていた観客。選抜復帰となる小田彩加や、連続で選出された堺萌香には拍手のボリュームが数倍、大きくなったが、スクリーンに「市村愛里」の名前が映し出されると、客席は「うおーっ」というため息で包まれた。声出しができる状況だったら、とてつもない大歓声があがっていたことだろう。

5期生の市村愛里はなかなか昇格ができず、苦難の日々を送っていたが、今回のツアーではトークでがっつりと爪痕を残し、チャレンジコーナーでもしっかりとしたパフォーマンスを披露してくれていたので、ここまでのツアーを見てきた観客からしたら、納得の初選抜だったのではないだろうか? 辛い思い、苦しい思いを人一倍してきた市村はステージ上で感涙。まだ選抜入りできていない5期生にとって、これは大きな希望になるし、より奮起したもらいたいものだ。

そして最後に発表された選抜メンバーは「今村麻莉愛」。

さらに大きな声にならない声が客席に響き渡った。

 

 

今村は『バグっていいじゃん』以来、約5年半ぶりの選抜入り。当時はドラフトで入ってきた小さい子、という印象が強かったが、ここ数年ですっかり大人の女性に成長した。昔の彼女しか知らない人は、おそらく別人だと思ってしまうのではないだろうか? ある意味、今回の新曲で「見つかる」可能性がもっとと高いメンバーである。

ひときわ大きなリアクションが起きたのは、けっして久々の選抜復帰だから、というだけの話ではない。劇場公演での取り組みや活動を見てきたファンからしたら「やっと報われた」という想いが強かっただろうし、これまでの時間に対する賞賛を含めての万雷の拍手だったと思う。本当にこの2人の発表時の客席の独特の空気感には鳥肌が立った。

劇場公演での評価、コンサートでの評価。それが新曲の選抜メンバーに反映されている。公演、コンサート、リリースという活動の三本柱がちゃんとリンクしているという事実はグループにとって、めちゃくちゃ健全だし、前日のチームTII公演でも感じたことだが、やっとコロナ禍を乗り越えて、新しいステップが踏めるんだ、という気持ちがより強くなった。

なによりもこの発表が6期生のいる空間で行なわれたことにも意味がある。

選抜メンバーのキラキラした姿は彼女たちの夢になり、苦難を乗り越えて選抜入りできたメンバーの涙は彼女たちの希望にもなる。ふたつのサプライズがHKT48の今と近未来を明るく照らしてくれたのだ。

 

 

AUTHOR 小島和宏

 

 

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