「バジーノイズ」 | MCNP-media cross network premium/RENSA

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「バジーノイズ」(2024/ギャガ)

 

 監督:風間大樹

 原作:むつき潤

 脚本:谷口恒平 沖野浩孝 風間大樹

 

 川西拓実 桜田ひより 井之脇海 柳俊太郎 円井わん

 奥野瑛太 天野はな 駒井連 桜井海音 佐津川愛美

 

 おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★★☆

 

 
音楽映画は好きだ。
ミュージカル映画でもなく、ライブ映画でもなく、音楽がテーマとなる作品が少なくなったと感じるのは、やはり昨今の音楽業界を席巻するデジタル化であったり、誰でも簡単に動画や配信で人気アーティストになれてしまう時代ゆえか。
 
「BANDAGE バンデイジ」「ソラニン」「BECK」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」「覆面系ノイズ」「坂道のアポロン」…。
 
ひと頃は音楽映画がたくさん作られていたと思うけれど、ネット配信時代になり、音楽制作のスタイルも変わり、ひとつの音楽を共通項としてストーリーを組み立てるのも難しくなったか。
 
本作の主人公である青年清澄も他人とのかかわりを嫌うDTM(Desktop Music)の音楽クリエーター。
 
孤独を愛しマンションの管理人として生計を立てながら、それ以外の時間は自室でDTM制作に没頭する日々だが、その没頭するあまり深夜の音漏れに気づかず、住人から苦情で管理会社からも次は解雇だと念を押される。
 
そんな清澄の音楽に癒されていた彼の部屋の上の階に住む潮の思いを受けて、再び深夜に音を鳴らしたために失業して部屋も追い出される。
 
清澄の才能を高く評価する潮は自身の責任もあり、自分の部屋に同居してさらに音楽制作を続けることを提案する。
 
彼の音楽を売り込みを始める潮に引っ張られるように、清澄自身も外の世界へと踏み出していく。
 
桜田ひよりはこれが初めての関西弁の役ということで、今までの優等生的なイメージを一新、清澄を強引に外の世界と新しい出会いに導いていくアクティブな演技が見事だ。
 
対する清澄を演じるのは人気グループJO1の川西拓実。
残念ながら役を演じるという部分では表情も台詞も平板で面白さに欠ける。
 
それゆえに潮の情熱と清澄のそれとの乖離があまりにも大きすぎて、作品全体を繋げるブリッジのようなものが見えてこないのは残念。
 
最終的には離れ離れになった仲間たちがひとつに集うことで大団円となるわけだけれど、残念ながらそこまで観客の心をひきつけるだけのカタルシスは得られなかった。
 
個人的には本作は桜田ひより目当ての部分が大きいのでその意味では大満足ではあるけれど、音楽映画としてのエネルギッシュな映像や心を震わすメロディもほぼ皆無で、登場人物たちだけが勝手に熱量を上げている感じがして物足りない。
 
人気ドラマー役の円井わんがホンモノのアーティストみたいでかっこよかった。
 
全体的に個々のキャラの存在感が弱いのは否めないが、若手キャストでまとめたことで、かつてのインディーズシーンを彷彿とさせる音楽映画の一端は垣間見せてくれたと思うのでまずは満足。
 
 ユナイテッド・シネマ前橋 スクリーン6