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派遣の期限が終わった





またダラダラと延長してしまうんだろうと予感してた




「決算月だし人件費とか削るから、延長は断ってるんだ」



あまり面識のない総務の人に言われた







そうか…
やっぱりお偉い方は
現場の現状分かってないんだな







いやいや思ってても
貢献はしてきたつもりだったんだけどなぁ




完全に引き継ぎ出来てないし


去る奴が口出す事じゃないけどさ



今のメンバーじゃ頼りないよ?





これでも大事な部分は担ってきたつもりだからね
それをあの社員の人が代わりになれる程の頼り甲斐は正直ないし




わかんない事あったら電話するねって





それはちょっと迷惑ですねぇ
いやまぁ、別にいいけど



低姿勢ではあるけど休日でも構わず電話してくるし




「僕なんか偉そうに言えないスけど…分からなくても堂々としてた方がいいですよ?
隙があると責められるから」



「あぁ、うん。
俺ダメダメだから心配かけてばっかだね」





………。



彼の評判は良く分からない




いつもお世話になってるフロントの友達から聞いた



「あの人と他部署の〇〇さんはいっつも事務所で怒られてるトップツーだわ」



やっぱり



人柄は良いんだけどね、なんて言われ方も耳にするけど



仕事に関しては奮わない





一緒にいると
あの人なりの苦悩も知ってる





出来る事ならもう全部投げ出したい

理不尽な事を言われ続けるだけの立場



でもこの歳で家族を養う為には
もう他に道はないという事





体を壊してから
人生の多くの時間を注いだ仕事を変えて
若い時ほどの吸収力もない






それらを汲み取ったから

正直面倒な部分もあるけど
ゆっくりと何度でも自分の分かる事は一緒に学んできたのに





人事は、ただ与えられた事をするだけ




派遣は金がかかる
社員を限界まで遣えばいい





本質なんて分かっちゃいない






いや、分かったつもりなのは
こっちの方かもしれない




世の中は自分の想像を超えた高尚な考えの元回ってるかもしれない




結局僕は自分しか見ていないんだなぁと気付く





実はもっと上手く立ち回っていれば
なんとか出来たこともあるかもしれない





自分が一緒にいて
偉そうに仕事を教えてる風にしてたから
(無意識に)



あの人の印象が周りに頼りなく映ってしまったのかもしれない




救ってるなんて
偽善的な満足感で

足を引っ張ってるのは他ならぬ自分だったなんて

とんだピエロかな







”つもり”はいつだって後になって気付く




知ってたつもり

考えてたつもり

気付いてるつもり







自分が何を知ってるかは知ってる




だけど
自分が何を知らないかは知らない







その知らない部分すら知ってると錯覚するのは青い証拠だ






気遣いや優しさの正体は全部、正義の押し付けなんだろうか







多分答えには一生辿り着けない




教科書やインターネットにも載ってない



試験の問題で学力を測れるけど

他人や自分の感情なんて
どこまで分かってるかも確かめようもない
ずっとモヤモヤしたままの存在


でもなぜだかこういう
答えのない問題が好きなのかもしれない





こういうことすら
考えようとしないと

きっともっとダメだったからさ





Fin