久々にAKBのことについて書いてみようと思います。

総選挙。

スマッシュヒットを飛ばして上り調子だったAKBの知名度を格段に上げたのが総選挙。

前田敦子が第3回総選挙で発した「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないでください!」というシーンを今まで何度見たことだろう。

シングル1曲だけの選抜選挙のはずが、今やランクがグループ内での全ての序列を決めるような風潮。各グループの威信をかけた戦い。しかも選抜メンバーは80人(全体の約3割)にも達し、ランカーと圏外は人かそうでないかを分けるかのよう。

メンバーのSNSで発せられるのは、票を入れてほしい(お金を使ってほしい)という生々しいお願い。

そう、総選挙はメンバーの心理を追い詰め、ファンの財布を追い詰め、やればやるほど世間から乖離し続けるイベント!!


その中で私が気になるのが、立候補制である。

気になるというか気に入らない。

最初は立候補制などではなかった。強制参加だったのだ。しかし、第何回目かから取り入れられたこの制度。最初は踏み絵みたいなもんで、卒業決まってる前田敦子くらいしか辞退しなかった。

総選挙は選抜を決める建前のキングレコードとAKSの大販促イベント。そこに所属する社員なら辞退するなんてあり得ないと思う。

ただファンと触れ合って楽しむイベントじゃない、メンバー1人で何千何億のカネをうむ、会社の決算を左右するビジネスだからである。

メンバーなら参加すべき。
グループを盛り上げるべきだし、大いに会社の収入を増やすべき。
自分のやりたいこととかファンへの負担とかそういう建前は全くいらなくて、総選挙に出なければ、即刻グループを辞めないといけないと思う。

だってAKBはそういうグループだから。

そう考えると、何で立候補制があるのか気になる。誰かいなくなるより、全員参加の方が確実に利益が増える。

なのになぜ…?

思い返せば総選挙とは、なぜ前田敦子がいつもセンターなのか?というファンの声に秋元Pが応える形で始まった。ならお前らファンが決めろということだ。

最初の結果は、誰がセンター(1位)に相応しいのか、というとても単純な理由だけで盛り上がれる。

そして話は、前田敦子と並んで人気のある大島優子がなんでセンターではないのか?大島優子をセンターにしたらどうか?で盛り上がる。

大島優子がセンターになればなったらで、前田敦子はどうでるのか?で盛り上がる。

有力メンバーが抜ければ、世代交代だの、新神7だので盛り上がる。

総選挙は様々なトピックを巻き込むことで大きくなった。それがエモーショナルならそれだけファンの思い入れも強くなり、票数も上がっていったのである。

そこへ来て立候補制である。
会社にとっては立候補など当たり前のこと。立候補制はある意味踏み絵。しかし、そこまでの過程、立候補届を出すまでのメンバー悩み…苦しみ。立候補してからのメンバーの表明演説。すべてをパッケージにして、物語作りのトピックに仕上げているのである。

有力メンバーの辞退はもちろん痛手。しかし、それすらもエモーショナルな物語に仕立て上げる。そのメンバーのライバル、後輩、そして若き新人達のことを煽り立て、さらに総選挙を感動的なものに仕立てるのだ。

総選挙立候補制とは、推しメンを少しでも上にあげたいファン心理のピュアな部分から得られる純資金とは別に、総選挙を物語にして集金イベントを肯定させ、別のトピックで煽った資金を稼ぐためのスパイスカードなのだと思う。

まったく呆れるほど鬼畜。

メンバーの心をすり減らし、ファンを躁鬱にさせるという、もはや消費者生活センターが本気出してもいいほどのブラックだと思っている。

AKBを押し上げたあの総選挙はどこにもない。このイベントはすでに役目を終えた。しかし目先の利益で開催し続けた結果、個人意識が過度に強くなり、ファンの間では軋轢が生まれ、グループの絆は薄められた。疲れたメンバーやファンが離れて、それが今のAKBだ。

今度は初心に返り、それぞれのグループがどうすれば輝けるか、どういうイベントをすればメンバーとファンが一丸になって進めるか、考える時期だと思う。考える時期もやる時期もとうに過ぎているが、もうやるしかない。

総選挙という鬼畜イベに立候補した気概のあるメンバー、そのメンバーについて行くというファンへの尊敬の念がたえない。これは楽しいイベではない。腹をくくるというものだ。本来エンタメでこういうことはあってはならない。これが最後にすべきだ。

何かを新しいことを始めるときは痛みが伴う。それがこの総選挙を終わらせるための戦いなのだとすれば、メンバーとファンが満足いくまでやりきることを願う。

それが…総選挙を最初から見てきた元AKBファン、今は観察者ですが…そんな私のささやかな願いです。

メンバーとファンに幸あれ。
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