ネバーエンディング・ストーリー (2)
ゴマ
家に着いて、早速銭湯に行った。
夕方のまだ明るいうちに入る銭湯は気持が良いのだ。
何日かたった。
朝、出掛ける時ふいに、またあの異臭が漂った。
あの懐かしいような、後ろめたいような、いや~な臭いがどこからともなく漂ってくる。
風呂は入っているのに。
おかしい・・・。
その夜。
テレビを見ながら何気なく指でヘソをいじっていた。
その時、黒いかたまりがヘソから出て来た。
ハッと気づく!!
臭いを嗅いでみた。
異臭の正体はヘソのゴマだったのだ。
こんな小さなかたまりに数日の間悩ませられるとは。
ヘソのゴマの存在は偉大である。
それからは風呂に入る度、入念にヘソを洗うようになった。
しかし、正直に言うとヘソのゴマの臭いは嫌いではない。
好きというのでもないが、何故か嗅ぎたくなってしまう匂いなのだ。
またいつの日か、あの懐かしいような、後ろめたいような、いや~な臭いを嗅いでみたいと思うのだ。
あ、それと耳の後ろもちゃんと洗わなくちゃね。
おわり
秋から冬へ