物語が、始まる
11月29日(月)
渋谷に行こうと思い電車に乗った。
中目黒を過ぎてから渋谷まで歩こうと急に思い立ち、
代官山で折り返し中目黒で電車を降りた。
途中、山手通り沿いのブック・オフに立ち寄る。
川上弘美さんの『東京日記 卵一個ぶんのお祝い。』が目に止まり、立ち読みをした。
これだ!と思った。
最近ブログのネタに困っていたので大変参考になった訳である。
買おうかなと迷ったが650円だったのでやめて、100円均一の川上さんの『真鶴』(単行本)と
糸山秋子さんの『海の仙人』(単行本)を買った。
『海の仙人』は大変好きな作品で何度か文庫本で読んではいるが、
今度は単行本で読んでみたいと思ったのだ。
内容が変わるわけでもないが、まあ気分の問題である。
それにしても最近は本屋さんで小説のたぐいを買ったことがない。
もっぱら100円均一でお世話になっている。
申し訳ないような気持で店を出る。
そして、小説二冊分重くなったバッグを肩にかけて渋谷に向って歩いた。
目黒川の橋上にて
ネバーエンディング・ストーリー (2)
ゴマ
家に着いて、早速銭湯に行った。
夕方のまだ明るいうちに入る銭湯は気持が良いのだ。
何日かたった。
朝、出掛ける時ふいに、またあの異臭が漂った。
あの懐かしいような、後ろめたいような、いや~な臭いがどこからともなく漂ってくる。
風呂は入っているのに。
おかしい・・・。
その夜。
テレビを見ながら何気なく指でヘソをいじっていた。
その時、黒いかたまりがヘソから出て来た。
ハッと気づく!!
臭いを嗅いでみた。
異臭の正体はヘソのゴマだったのだ。
こんな小さなかたまりに数日の間悩ませられるとは。
ヘソのゴマの存在は偉大である。
それからは風呂に入る度、入念にヘソを洗うようになった。
しかし、正直に言うとヘソのゴマの臭いは嫌いではない。
好きというのでもないが、何故か嗅ぎたくなってしまう匂いなのだ。
またいつの日か、あの懐かしいような、後ろめたいような、いや~な臭いを嗅いでみたいと思うのだ。
あ、それと耳の後ろもちゃんと洗わなくちゃね。
おわり
秋から冬へ
ネバーエンディング・ストーリー (1)
汗・・・
今年の夏の暑い盛りのこと・・・。
ブック・オフで本を見ていた。
その時、どこからともなく異臭が漂ってきたのだ。
むむっ!こ、これは・・・近くにホームレスの方がいらっしゃるんじゃなかろか。
と、あたりを見回した。
しかし、それらしき人は周りにはいない。
おかしいなあと思いながら店内を歩いているとまた、異臭が漂ってくる。
何ともいえない懐かしいような、後ろめたいような、いや~な臭いなのだ。
再びあたりを見回すが、やはりそれらしき人や物も見当たらない。
場所を移動する度に異臭がついて来るのだ。
おかしいなあと思いながら店内を歩いていると、ふと思いついた。
あ、このところ風呂に入っていなかったのだ!
そうか、あの異臭は自分だったのか、いや、お恥かしいと思いながら、
腕やTシャツなどの臭いを嗅いでみる。
多少汗臭いがそれほどでもない。
おかしい・・・。
本当にあの異臭は自分なのかと疑心暗鬼になる。
だが、自分の臭いは自分では分からないものなんだ、
と、自分を納得しつつ本を買うのも忘れ店を出る。
そして、
帰ったらすぐ銭湯に行こうと思いながら家路を急いだのだった。
しかし、この話はこれで終わった訳ではない。
思いもよらない恐ろしい結末が待っていたのだ・・・。
つづく
夏の一日