モリーが会社の人を小淵沢まで送って、駅の自販機でコーヒーを買いに車を降りた時、声を掛けられた。
「すいません。白州にあるＣって店、知ってますか？」
「シーじゃなくてＣですか？」
「あれ？アルファベットのＣじゃないんですか？」
「カタカナのシーなら知ってますよ」
モリーに話し掛けてきた男は小首を傾げた。
「おかしいな。タクシーの運ちゃんに、あの人なら知ってるよって言われたのに…」
「すいません。お役に立てなくて」
そう言ってモリーが車に乗り込もうとすると、
「あっ、そうだ。マスターがこだわりにこだわって作ったお店らしいんですが、分かりませんか？」