ルノアール日録 -10ページ目

圧殺

三軒茶屋にあるシアタートラムで『友達』(作/安部公房、演出/岡田利規〈チェルフィッチュ〉)という芝居を観る。

一人暮らしの男の部屋に、ある夜突然見ず知らずの“9人家族”が侵入、抗議する男に構わずそのまま居着いてしまい…という、安部公房作品らしい不条理劇を、若手演劇人の代表格とされる岡田利規がどう料理するのか、との興味もあって。

やはり戯曲そのものの力と出演陣の確かな力量、そして戯曲に意外なほど?(今年の2月頃六本木で観たチェルフィッチュの公演『フリータイム』があまり感心しなかったから、というのもあるが)真っ正面から向かい合ったと思しき演出によって、かなり面白く観る。

“善意”“連帯”“友愛”などの概念に支えられた“集団”“組織”が、或いはそれら概念そのものが、如何にして一個人を圧殺してしまうのか…古くて新しい、まさに普遍的な問題がストレートに伝わってきた。

麿赤児の圧倒的な存在感、若松武史の風格あるエキセントリックさ、木野花の何ともいえぬ可笑しみ……このキャスティングに支えられたところも大なり、か。

アート

渋谷のシアター・イメージフォーラムで、映画『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』(監督/ブラザーズ・クエイ)を鑑賞。

最初から最後まで徹頭徹尾謎めきまくった展開、文学性満点の会話、ぬめり気ある官能的な映像とエロティックなイメージの数々、幻想的なパペットアニメーションの自在な挿入、徹底して人工的で非日常的な世界観など、そういった雰囲気は決して嫌いではないのだが…、

登場人物の心理・行動の不可解さ、各シーンの時制の複雑怪奇・錯綜ぶりがこちらのキャパを超えていたのか、その世界から置いてけぼりを喰らったまま終わる。

フェロモンむんむんの、かなり思わせぶりな年増の“家政婦”、いいキャラではある。

ネオGS

タワーレコード新宿店にふらりと寄ってみたら、出たばかりと思われる『IKASU!! NEO GS GO!GO!LIVE!!』なるCDを発見、迷わず即購入。
ネオGSブーム最高潮期の夏…1987年8月、ニッポン放送・ラジオハウス銀河でのライヴイベントの模様が収録されていて、登場バンドはザ・コレクターズ、ザ・ストライクス、ザ・ファントムギフトの有名どころに加えて、ワウ・ワウ・ヒッピーズ、ペイズリーブルーwithザ・フラワー、ザ・トゥエンティヒッツという計6バンド。
いい感じにRAWな音質で臨場感最高、コレクターズのつんのめるようなハイテンション演奏、ファントムギフトのナポレオン山岸の凄まじいファズ攻撃が強烈だが、収録曲数がそれぞれ2曲だけなのが何とも物足りない。もっと聴きてえー!ストライクス、ワウ・ワウ・ヒッピーズに至っては1曲だけだし。