「ゴジラ×コング 新たなる帝国」
“GODZILLA X KONG: THE NEW EMPIRE”(2024/東宝)
監督:アダム・ウィンガード
原案:テリー・ロッシオ アダム・ウィンガード
サイモン・バレット
脚本:テリー・ロッシオ サイモン・バレット
ジェレミー・スレイター
レベッカ・ホール ダン・スティーヴンス ケイリー・ホトル
ブライアン・タイリー・ヘンリー アレックス・ファーンズ
おすすめ度…★★★★☆ 満足度…★★★★★
キッスだ!KISS!
もうね、それだけでもう大満足です。
一緒に歌いそうになっちゃったよ。
昭和ゴジラにはギリ間に合ったというか、むしろ東宝チャンピオンまつり時代のゴジラがリアルタイム世代。
しかも最初にスクリーンで観たシリーズの新作が「ゴジラ対ヘドラ」(1971)だったりするので、怪獣映画というよりも公害をテーマにした社会派作品にゴジラ云々よりもヘドラの怪異な容姿がしばしトラウマになりそうだった。
もちろんこの時も東宝チャンピオンまつりとしての上映で、調べてみたら同時上映が「帰ってきたウルトラマン」「みなしごハッチ 傷だらけのバレリーナ」「いなかっぺ大将 猛獣の中にわれ一人だす、オオ!ミステーク」「日本むかしばなし わらしべ長者」というラインナップ。
「ゴジラ対ヘドラ」以外の作品はテレビシリーズのエピソードの再編集版と短編人形劇だった。
それ以降の70年代のゴジラの新作は「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」(1972)から「メカゴジラの逆襲」(1975)までスクリーンで観ているはず。
シリーズの古さではおそらく「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964)の再編集版「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦」だと思うけれど、これも東宝チャンピオンまつりの一本なので、いずれにしても怪獣バトル時代のゴジラは自分がまだ幼少期の頃には定番化していたらしい。
80年代以降の平成「ゴジラ」シリーズについては、いわゆるリブート路線といえるもので、演出も大森一樹など人気監督たちにオファーをして怪獣バトルではなく、あくまでも対ゴジラ色を前面に出す作品が多かった。
ということで、実は怪獣バトル時代のゴジラはあまり記憶にない世代でもあるので、ハリウッドのゴジラが<モンスター・ヴァース>シリーズに舵を切ったのは新鮮であり、今回の最新作も最初から最後まで純粋にエンターテインメント作品として楽しめた。
自分は日本のゴジラがある種のリアリティ路線に舵を切った「シン・ゴジラ」がまったくダメだった人なので、やはりゴジラは基本怪獣映画に徹してほしいと思ってしまった。
昨年の「ゴジラ-1.0」についてはどうやら令和ゴジラの幕開けとなる新シリーズとなりそうだ。
さてモンスター・ヴァースの最新作は「ゴジラ×コング 新たなる帝国」というタイトルが表すように、今回はゴジラとコングが共闘して新たな敵と闘うという構図。
ゴジラは人類の脅威として存在し続ける地上の覇者であり、コングは地下の覇者で、髑髏島の遥か彼方に存在する地下空間で暮らす。
まあこの設定がダメな人はダメなんだろうと思う。
破壊王であるゴジラは本作でもその進む先にあるものすべてを蹂躙しつくす。
世界遺産であろうが大都会であろうが関係なくその足で破壊してゆくゴジラの姿は、もはや「シン・ゴジラ」そのものが成立する術もない。
強敵であるはずのスカーキングがどう見てもコングより強く見えなかったり、かつてのミニラ(ゴジラの息子)を彷彿とさせるミニコングが登場したり、あの頃の怪獣バトル時代のゴジラへのオマージュなのかそういう部分が陳腐に見えてしまうとそれまでかな。
そういう意味では「シン・ゴジラ」信者の一部のファンにはモンスター・ヴァースの世界観は相容れないかもしれない。
今回は純粋にモンスターバトルと割り切って楽しめたのでよし。
しかしゴジラの寝床の発想が凄いな。
ユナイテッド・シネマ前橋 スクリーン7